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ウズベキスタン・カシュカダリヤ州首都カルシにて再び特別講義~危機感を共有する試み~

  • 代表取締役・小俣伸二
  • 5月22日
  • 読了時間: 3分

リリース日時」2025/4/9


休暇を兼ねて再訪したウズベキスタン・カシュカダリヤ州の州都カルシ。その折、現地の Small Business Support Center(SBSC) より再びご依頼をいただき、(株)サイラボとしてボランティア形式の特別講義を実施させていただきました。

今回は、純粋な講義の機会であると同時に、個人的なリサーチを兼ねた特別な挑戦でもありました。というのも、これまでに当地で100名を超える中小企業経営者とお会いする中で、私がひしひしと感じてきた「ある種の危機感」──それをあえて伝えてみようと思ったのです。それが果たして伝わるのか、共感を得られるのか。むしろ、彼らが「それを大切だと思うかどうか」。その点を見極める、小さな実験でもありました。


成功体験の陰にある“省略されたプロセス”

ウズベキスタンの経済成長は、まさに今、本格的に動き始めた段階です。そのため、現在成功を収めている企業の多くは、激しい競争環境の中で生き残ったというよりは、比較的穏やかな市場環境で成長してきたケースが目立ちます。

その結果、私が強く感じてきたのは、「市場調査 → 観察・分析 → 戦略案の立案・選定」というプロセスが、企業経営の中でごっそり抜け落ちてしまっているという現実です。

今回の講義では、そのことに対する懸念と危機感を伝えることに集中しました。


講義の切り口:危機は“外”からやってくる

導入では、あえて現トランプ政権の相互関税という世界規模の経済インパクトから話を始めました。ところが、会場の反応は今ひとつピンと来ていない様子。ウズベキスタンにとって関税率は「10%程度」という数字だけを見れば、確かに危機感は薄れてしまうかもしれません。

そこで話を「サプライチェーン」全体へと広げ、視野を外に向けた問いかけを続けました。すると、わずか1〜2名ほどの聴講者に、少しずつ変化が現れたのを感じました。わずかでも、その表情の変化は希望です。


ソリューション発想からの脱却

今回の講義テーマは明確でした――「ソリューション起点の思考をやめよう」。

多くの現地経営者は、製品やサービスを起点に「どう売るか?」を考えます。しかし、その前にあるべき「顧客の視点」「顧客の課題」へのアプローチが抜けている。Value Proposition(価値提案) という概念を持ち出しても、その重要性はなかなか響かない。しかし、それでも私は言い続けます。これは信念でもあります。


使用ツール:OODAループとCPF(Customer Problem Fit)

講義では、思考のフレームワークとして「OODAループ」(特にObserveとOrientのパート)を導入。業界別の具体例を交えながら解説を行いました。また、顧客理解を深めるためのCPF(Customer Problem Fit)の考え方も紹介。

ウズベキスタンの方々は、視覚的な刺激がないと飽きやすい傾向があるため、ここはあえて「テキスト主体のスライド」で“いじわる”な演出。ビジュアルに頼らないコンテンツで、どれだけ集中力を引き出せるかも一つの挑戦でした。

全体で2時間。途中10分間の休憩を挟みつつ、結果として居眠りする参加者もほぼ見られず、最後まで完走できたことはささやかな達成感です。


届いた手応えと、見えた限界

終了後、1名の受講者が個別に声をかけてきてくれました。話している内容から、講義の核心部分が伝わっていたと確信できました。聞けばその方は海外経験も豊富とのこと。やはり、異なる視点や外の物差しを持っていないと、本質的な理解には至りにくい──そんな結論を共有できたように思います。


次なる機会に向けて

今回の講義では、自身としても多くのフィードバックを得ることができました。今後、もしまた同様の依頼をいただいた際には、より磨かれたコンテンツでお応えできるよう、今回の経験を糧にさらにブラッシュアップを図っていきたいと思っています。




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