ウズベキスタン・カシュカダリヤ州でのKAIZEN特別講義実施報告
- 代表取締役・小俣伸二
- 5月19日
- 読了時間: 3分

リリース日時」2024/12/24
ウズベキスタン南部、カシュカダリヤ州の州都カルシにて、現地の「Small Business Support Center(SBSC)」からの正式な要請を受け、(株)サイラボとしてボランティア形式の特別講義を実施させていただきました。
テーマは「KAIZEN(改善)」。
受講者は、SBSCの管轄内にある中小企業の経営者層。KAIZENという言葉には一定の認知があるものの、その具体的な内容や実践方法についてはほとんど知られていない段階です。SBSCとしても今後KAIZENの講義を独自に展開していきたいとの構想があり、今回はその立ち上げの「初回講義」として、われわれに白羽の矢が立ちました。
ウズベキスタン全体としては、特に製造業の大手企業を中心にKAIZENの概念は徐々に浸透しつつあります。多くはトルコ系企業や外部コンサルタントからの影響を受けているようですが、中小企業においてはまだまだ導入以前の段階。KAIZENの重要性自体には関心が高い一方で、実務にどう落とし込むかについてはまさに「これから」という状況であり、まっさらな白地に絵を描くような出発点でした。

講義構成と意図的アプローチ
今回の講義では、あえて「2S(整理・整頓)」と「5S」の基本中の基本に的を絞り、その重要性と背景にフォーカスしました。なぜKAIZENが必要なのか? その「なぜ」を徹底的に掘り下げ、実例や技法の詳細にはあえて踏み込みすぎないという構成を貫きました。
というのも、これまで現地で実施してきた起業家向けワークショップの経験から、参加者が「How-to」に過度に傾倒する傾向があることが明らかになっており、今回はその反省を踏まえ、あえて“なぜ思考”に重きを置く試みでもありました。

講義の反応と今後への示唆
受講者の真剣な眼差しと集中力からは、KAIZENに対する高い関心がひしひしと伝わってきました。一方で、講義後半には具体的な事例を求める質問が相次ぎ、やや抽象的なアプローチに対するフラストレーションも一部に見受けられました。荒療治だったかもしれない、という反省が自分の中に残ったことも事実です。
とはいえ、今後SBSCが展開する講義では、ウズベキスタン国民の気質に合わせて、より実践的な事例やケーススタディ中心の内容になっていくことが予想されます。その流れを見据えるからこそ、今回はあえて「概念」と「問い」に徹するスタンスを堅持したことには意味があったと考えています。
日本文化との接点としての「わびさび」
また、主催者側からのユニークなリクエストに応じ、日本のKAIZENと「わびさび」との関係性についても一部触れました。ポルシェの事例を引用しながら、あくまで私見としての解釈を交えた話をさせていただいたところ、参加者の皆さんにも新鮮な視点として受け取っていただけたようです。

地方都市との対話がもたらす希望
今回の講義を通じて改めて実感したのは、ウズベキスタンにおける首都タシケントと地方都市との間に横たわる、経済的・文化的ギャップの大きさです。国家全体として、各地方がどのように独自の強みを活かしながら、伝統と経済発展を両立させていくかが大きな鍵になると感じました。
特に、地政学的・民族的に多様性の高い州単位での戦略立案が不可欠であり、盲目的に都市部のモデルを追いかけるだけでは解決できない課題が山積しています。そうした中で、地方の起業家と直接対話し、互いの視座を交わす機会が持てたことは、今後の活動の指針を深めるうえでも非常に貴重な体験となりました。

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